9.人と比べるのではなく、比べるのは過去の自分
大分でランニングサークルに参加しています。別大マラソンに参加する市民ランナーから、わたしのようなファンランまで幅広いサークルです。練習ではスピードも距離もついていくことができていません。
参加してすぐに高低差のある1.5㎞の周遊コースの練習がありました。坂道が苦手なわたしは1周で十分だと思いました。それでもなんとか9周走ることができました。他の人は10周以上走っているのに、「最初に9周走れたらすごいよ」と誉めてくださいました。大人になってから人に誉められることがなかったので、とても新鮮な気持ちでした。また、大会では必ず入賞する人も、わたしの結果を一緒に喜んでくださいます。
チームでは落ちこぼれですが、自分のペースで参加していても居心地の悪さを感じない大人のサークルです。そのチームは私の生き方の方針にも合っているからかもしれません。
「障害受容」について調べているときに出会った理論が、わたしの生き方の方針の1つになりました。
中途障害の人は、最初自分障害を認めることができなくて自分自身を過小評価する人が多くいます。医療や福祉の専門職はその人に自分の本質的な価値に気づいてもらるための支援をおこないます。コップに半分のジュースが入っているとき、ジュースがなくなった部分しか見えていない人に、残っていることに気づいてもらうための支援です。その理論の1つに、Wrightの価値転換があります。
その中でも「④比較価値から資産価値への転換」が私自身の目標です。他の人と比べるのではなく、自分の中にある価値を見つめる。そして、人と比べるのではなく、比べるのは過去の自分。昨日の私よりも少し成長していたらいいなと。もちろん、いつも過去の自分より成長しているとは限らないけど。
①価値範囲の拡大(enlarging the scope of values)
障害により喪失した価値以外の他の価値の存在を認識することであり、本質的な価値は否定されたのではなく、持ち続けていることに気がつくこと。
②身体を従属させること(subordinating physique)
身体的外観が一般的な常識の基準を下回ることで劣等感を感じるが、身体的外観より内的価値観の重要性を認識すること。
③障害の影響の抑制(containing disability effect)
身体的障害によって心理的影響が拡大するが、障害により喪失した価値は一部分であり、多くの価値が残存していることに気づく。
④比較価値から資産価値への転換(transforming comparative values into asset values)
一般的な標準と比較して自分の価値を評価する比較価値から、自分に内在する価値を見つける資産価値への転換、つまり外的価値観から内的価値観への変換である。